ブログ再開 『この世界の片隅に』 感想

ブログ再開 『この世界の片隅に』 感想





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 お久しぶりでございます!
 11月中は出張で長いことブログをほったらかしにしてしまい失礼しました。
 今は地元に帰ってきて仕事の忙しさも和らいできたので、今日よりブログ再開していきます。
 ブログ再開1回目の記事は2ヵ月ぶりに行った映画館で観たアニメ映画

この世界の片隅に 

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 『風立ちぬ』以来久しぶりのアニメ映画、観に行った映画館は静岡東宝会館
 アニメ映画といえば他に現在大ヒットしているのがありますが、あちらは残念ながら仕事多忙&出張と重なってまだ見ていません。(小説版は読みkました)

<ストーリー>

 太平洋戦争中の昭和19年(1944年)の広島ー
 絵を描くのが趣味の18歳の少女・浦野すずに突然の縁談が舞い込んできた。事態を飲み込めぬままに話はどんどん進み、彼女は広島市から軍港がある呉市の北條周作のもとに嫁ぐ。
 見知らぬ土地に慣れない家事に悪戦苦闘しながらも、持ち前の前向きな性格や夫ら家族のサポートのお蔭で呉での生活を楽しむようになっていく、
しかし、昭和20年(1945年)戦況の悪化によりすずたちの生活は苦しくなっていく・・・・


◎予告編







<感想>

素晴らしい!
ここ数年で最も心に残るアニメ映画でした!! 


 太平洋戦争末期、広島の呉を舞台にそこで生活する人々の日常を描いたアニメ映画。
 太平洋戦争を描く映画だと出征した兵士や過酷な戦場を描くことが多いですが、この映画の主役は戦争中に国内で生活していた人々で、戦争という非日常の最中に人々はどのように日常を過ごしていたのかをひとりの女性の視点で描いています。
 歴史好きの僕はここに興味を持ちこの映画を見ることにしました。

 はじまりは主人公・すずの幼少時代、絵が描くことが大好きなすずは厳しい兄と仲の良い妹の三人兄弟で、祖母の家では`座敷わらし'に遭遇したり、広島の町で少年と人さらいのばけもの(妖怪?)に連れてかれそうになったりと、なんともお伽話の様な展開が続きます。
 ところで、昭和初期の広島の町の場面にサンタクロースの売り子がいますね。この頃にはもうクリスマスの文化は日本に浸透していたんですね。

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昭和初期の広島 右側にサンタクロースの売り子

 すずさんが18歳の時、広島から離れた港町・呉の北條家に嫁ぐことになります。事はトントン拍子に進み北條周作と祝言を挙げて呉の北條家での生活がはじまりますが、あのように親や周囲の取り決めでお互いを知らない同士の男女が結婚するのは恋愛結婚が主流となった現在から見ると違和感を感じますね。ただし、恋愛結婚が当たり前になったのは戦後になってからで、劇中のような結婚は当時と言うかそれまでの日本の歴史では普通の出来事でした。結婚する当事者の立場から考えると困りますけどね。

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北條周作・ずず夫妻

 主婦としての生活がはじまったすずさん。嫁ぎ先の家族は夫の周作を含め優しい人ばかり、周作の姉である径子さんだけはとてもすずさんに厳しかったが、径子さんの娘の晴美がすずさんと仲良く彼女を通じて徐々に信頼関係ができていきます。
 戦争の方は悪化していき、その影響は北條家の生活を直撃。配給される食料は見るからに少なくなり困ったすずさんはタンポポや山菜などを採って食料の足しとします。
 面白かったのが鎌倉時代~南北朝時代に活躍した武士・楠木正成が考案したと言われる`楠公飯(なんこうめし)'をすずさんが作るところ。玄米にたっぷり水を吸わせて炊くことで、ご飯の量が増えたように感じるというものらしいのですが・・・・残念ながら味はそんなに良くはなかった。武士の非常食なんだから味の旨い不味いなんて二の次だったのでしょう。
 そんな創意工夫で生活を支えていくすずさんの姿はとても前向き、食事のアイデアを考えているところは楽しんでいるように見えて、それがこの映画の魅力に感じられました。

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 厳しい生活の中、すずさんは砂糖を買うために闇市に行きますが見てて驚きました。闇市と言うと終戦直後以降に出てきたというイメージがありましたが戦中からあったのですね。
 ここですずさんは道に迷い遊郭の女性・白木リンに助けられますが、このリンさんがかつて出会った座敷わらしだったようですね。短いシーンの登場ながら大きな印象を残すリンさん。まだ読んでませんが原作コミックではすずさんの友人として重要人物らしいですね。
 その後、北条家にすずさんの幼馴染みで初恋の相手の水原哲が訪れます。哲さんはすずさんに今でも想いを寄せてましたが、すずさんはそれを知りながらも今では夫である周作さんを第一に想っている自分に気づき苦悩します。
 そんなすずさんを気遣い哲さんは北條家を後にしますが、とても悲恋という感じで見てるのが辛かった。

 昭和20年になると更に戦況は悪化して軍港である呉はひっきりなしに空襲の脅威に晒されることになりまります。
 最初は偵察機が来る程度で日本軍は高射砲や対空砲で迎撃しますが、この味方が撃った砲弾の破片が住宅街に降り注いで呉の人々は迷惑していたとのは初めて知りました。
 一日に何回も鳴る空襲警報、最初こそ真剣にキビキビと動きながら避難するすずさんたちですが、何度も避難が続くと状況に慣れてしまい、
「もう空襲飽きたぁー!」
 と言い出してしまいます。でも非日常の出来事である戦争が、人々の日常のひとつに加わってしまった昭和20年の日本の状況は僕は恐ろしさを感じました。
 そしてついに降って来た爆弾!爆弾が降って来た時にすずさんは防空壕に避難してたものの爆弾の大きな衝撃は防空壕の中にも伝わっていました。「防空壕は安全じゃなかったのか?」と疑問に思って後で調べたところ、一応に安全でしたが爆弾が防空壕を直撃した場合はさすがに耐えられず亡くなった方も多くいたようです。すずさんは空襲で大きな悲劇に遭遇しますがネタバレになるのでここでは書くのはやめます。
 爆弾に続いて降って来たのは焼夷弾。焼夷弾は北條家に降って来たシーンは恐怖を感じました。焼夷弾に気づいたすずさんが布団(だったかな?)を被せて消火するのは見てて怖かった。そのまま彼女が火だるまになるのでは想像してしまった。
 挙句にすずさんは敵戦闘機の機銃掃射に狙われます。衝撃的な71年前の日本の現実にずっと声をを失いました。

 そして広島にとっての`あの日'昭和20年8月6日・・・・原爆投下の日
 その日の朝、すずさんは径子さんといると不意に閃光が走りました。続いて大きな振動と暴風が吹き荒れてただ事でないと感じたすずさんが外を出ると、広島の方に巨大なキノコ雲が!広島に向かう軍の車両とすれ違うようにこちらに向かってくる人々の姿は頭髪はボサボサとなって乱れ衣服はボロ雑巾のように破れている。
「広島で何か悪いことが起きた」
 すずさんたち呉の人々は不安を感じながらも昨日と同じ一日を過ごしていく。
 原爆が投下された広島ではなく20キロほど離れていた呉から描いたのは、広島原爆を今までとは違う視点で見れたことは興味深かったです。原爆による広島の凄惨な状況はほとんど描かれませんが(終盤に少し描きます)呉は難を逃れたが隣町の広島は大変なことになっているようだという不安と恐怖は大きく感じられました。

 終戦の玉音放送を聞いたすずさんは、
「最後の1人まで戦うんじゃなかったんかね!」
 と慟哭します。この慟哭は、終戦によってこれまで戦時中の苦しい生活や悲劇に何の意味があったのか?という疑問や現実が津波の様に彼女に覆い被さってきてすずさんの感情が爆発したことによる慟哭なのではと僕は思いましたが、他にも多くの解釈ができそうです。

 終戦後、すずさんの実家は原爆に悲劇に見舞われてましたが、彼女は周作さんは廃墟となった広島で戦災孤児の少女と出会います。少女を引き取った北條夫妻、家族が増えた喜ぶ北條家の人々。
 エンディングで、少女が北條家にとっての明日への希望の象徴となり一家は戦後も歩み続けていく明るいラストには深い感動を感じました。

 観終わって、祖父母の世代は70年ほど前にこんな日常を生きていたのだな知ることができてとてもありがたく感慨深いものを感じました。ストーリーもドラマチックな展開が続くので最後まで目が離せなかった。
 戦争という困難な時代の中でもほんわかで明るく前向きに生きるすずさんは魅力的な女性でした。すずさんの声優を演じた能年玲奈改めのんさんの声はとても合っていました。『この世界の片隅に』はのんさんの代表作になりますね!
 のんさん以外では夫・周作さんを演じた細谷佳正さんの素朴ながら温かみのある声が良かったですね。 

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のんさん(すずさん役・左) 細谷佳正さん(周作さん役・右)


 この映画のメガホンを取った片渕須直監督は6年をの歳月をかけ、途中で費用が行き詰まりクラウドファンディングで出資を求め4000万円が集まり完成にこぎ着けた片渕監督の意欲と執念を感じる意欲作といえるでしょう。

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片渕須直監督

僕は、映画を観てくれる人にとって、すずさんという人が実際にそこにいたかのように感じられることが大切だと考えてこの映画を作りました。
すずさんみたいな普通の人の上に、大量の爆弾が降ってくることがどれだけ恐ろしいか。すずさんという、ぼおっとしていて頼りなくて、そしておよそ戦闘的じゃない人の上に、爆弾が落ちてくる……。

 すずさんという人の実在感があって、はじめて当時起きていた戦争という事象のある側面――すずさんが体験する範囲内での戦争のありよう――を、映画を観ていただける方々に感じてもらえるのではないかと考えました。


昨日、(『シン・ゴジラ』総監督)庵野秀明君に会って「観た?」って聞いたら

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「観た。なんだあの女、ぼおっとして。首締めたくなった」 

って(笑)。
でもそんな女性の裡に色々なイマジネーションが存在しているからこそ、愛おしくなるんじゃないかな、と僕は考えているんです。


庵野さぁぁん!! 
 













 
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